■子宮頚癌(子宮頚がん)とヒトパピローマウイルス(HPV)の関係
1970年代後半、子宮頚癌(子宮頚がん)の組織中にヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子が見つかったという検査結果から、ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頚癌(子宮頚がん)を引き起こす犯人ではないかと研究され、子宮頚癌組織中に見つかるのはある特定の型のヒトパピローマウイルス(HPV)が多いということが分かってきました。それを高リスク型(High risk type)、低リスク型(Low risk type)とに分けています。
■高リスク型HPVと低リスク型HPVの違い
HPV(Human Papilloma Virus:ヒトパピローマウイルス)は、とてもありふれたウイルスです。性交渉の経験がある女性の80%程度は一生のうちに一度はヒトパピローマウイルス(HPV)に感染するといわれています。
子宮頚癌(子宮頚がん)は扁平上皮癌(扁平上皮がん)と腺癌(腺がん)の2つに分けられます。
腺癌(腺がん)の場合、腺系異型という状態が腺癌(腺がん)の前駆病変ではないかと疑われていますが、腺癌(腺がん)の成り立ちに関してはきちんと判明していません。HPVが関係し、異形成から癌(がん)になると考えられているのは、扁平上皮癌(扁平上皮がん)ですので、腺癌(腺がん)についてはリンクページに紹介しているサイトを訪れてみてください。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、2007年9月現在分かっているだけで300以上のHPV遺伝子型(タイプ)があり、子宮頚癌(子宮頚がん)に関連しているのは高リスク型でほんの数種類です。
しかし、高リスク型に感染しても全員が発癌(発がん)するのではなく免疫状態の低下やタバコなどの要因が引き金となってもたらされることが判っています。
又、低リスク型HPVは尖圭コンジローマ(せんけいコンジローマ)という治療可能なイボを作ります。
■ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染するとどうなるのか?
ヒトパピローマウイルス(HPV)は性交渉で感染するSTD(性感染症)です。
HPVは子宮頚癌(子宮頚がん)や異形成を引き起こす要因ですが、HPVに感染しただけで子宮頚癌(子宮頚がん)になるわけではありません。何故なら、感染したHPVの殆どは子宮頚部の表面細胞に付いただけで、しばらく(7〜8ヶ月という報告もあります)すると免疫力や新陳代謝などで細胞とともに剥げ落ちるからです。
ところが感染部分に小さな傷があったり、免疫力の低下などでヒトパピローマウイルス(HPV)が長期感染すると細胞深く侵入して定着し、細胞の異常分裂を引き起こし癌化(がん化)への道を歩みます。高リスク型HPV感染例の1〜3%が前癌病変(異形成)まで至り、そのうちの25%が子宮頚癌(子宮頚がん)になると言われています。これらのデータを合わせて考えると女性1万人のうち、およそ3〜7人が子宮頚癌(子宮頚がん)を発症する計算になります。
■ヒトパピローマウイルス(HPV)のDNA型を調べる意味
これまでの研究結果から、子宮頚部にヒトパピローマウイルス(HPV)が長期感染することによって子宮頚部異形成が発生し、その中で高リスク型のHPVに感染しているものの一部が子宮頚癌(子宮頚がん)へと進行していくということが判明しています。
このことから、子宮頚部細胞診で子宮頚部異形成だと診断された人は自分が感染しているヒトパピローマウイルス(HPV)のDNA型を調べ、ある程度今後の進行度合いや治療法などを推測することができるとされています。
では、ヒトパピローマウイルス(HPV)の型を調べる意味はどれくらいあるのでしょうか?
上記研究結果からも分かるように、子宮頚癌(子宮頚がん)へ進行するのは高リスク型HPVだということです。
高リスク型HPVに感染していなければ異形成を放置しておいてよいということではありませんが、自分が感染しているHPV型を知ることである程度の予測を立てることはできます。
現在、高リスク型HPVとされている16型・18型・31型・33型・35型・45型・51型・52型・56型・58型などですが、18型は欧米での研究結果では高リスク型とされていますが日本では自然治癒することが多いそうです。
また、欧米の報告では52型、58型は子宮頚癌(子宮頚がん)から見つかることが少ないとされていますが、日本では発見される確率が高いそうです。したがって欧米での研究結果がそのまま日本人に当てはまるということでもないようです。
もし高リスク型のHPVが見つかった場合でも、その異形成が確実に癌化(がん化)することはありません。最も癌化(がん化)の率が高いと考えられているHPV16型が見つかった場合でさえ、約20%にしか癌化(がん化)は起こりません。
HPV18型は欧米での研究から高リスク型に分類されています。
HPV18型は日本人を対象にした研究結果では子宮頚癌(子宮頚がん)から見つかる確率は低いものの、子宮頚部腺癌(腺がん)では約50〜70%に見つかりますので確かに高リスク型のウイルスと言ってよいと思います。(HPV18型に感染すると約50〜70%が子宮頚部腺癌(腺がん)になる、という意味ではありません!)
しかし、高リスク型HPVが見つかったからといってそれだけの理由で手術を行ってしまうのは行き過ぎた治療といえます。
子宮頚部異形成と診断された場合、従来の検査方法での検診に加えてHPV検査の結果を参考としながら適正な検診間隔を考えていくことが、現時点における最良の治療方針ではないでしょうか。(引用:山王メディカルプラザ 清水敬生医師)
■日本人にとっての高リスク型HPVと低リスク型HPV
上記したように、欧米人女性には高リスク型でも日本人女性には低リスク型だったり、その逆だったり、欧米のデータがそのまま当てはまるものではありません。
そこで、管理人@sarryの主治医から得た日本人女性にとってのヒトパピローマウイルス(HPV)高リスク型、低リスク型などについての情報を掲載しておきます。
低リスク型(心配無し)…6、11、42、43、44、53、54、70型
リスク型(少しリスクがあるが大したことは無い)…35、56、59、61、66、80、82型
高リスク型…16、18、31、33、39、51、52、58型
記入日:2008年01月11日
■HPV-DNA型判定検査(HPV遺伝子検査)について
HPV-DNA型判定検査(HPV遺伝子検査)とは、感染しているヒトパピローマウイルス(HPV)のDNA型を調べる検査のことです。
2008年1月現在、保険適応外なので検査費用(2万円位)は全額自己負担になります。
2008年1月9日に開催された厚生労働省の先進医療専門家会議でHPV-DNA型判定検査(HPV遺伝子検査)を保険適応と認めるかどうか?について話し合いが行われましたが、同検査は現在治験中という理由で今回は見送られ、引き続き先進医療の枠組み内で行うこととなりました。
同会議は1年に一度開催予定されており、検査キットが承認され保険適用されるか、1年後の会議での審議を待つことになります。
HPV遺伝子検査と子宮頚部の細胞診を組み合わせた検査により、子宮頚癌(子宮頚がん)の発症リスクは非常に正確に予測することができるので、子宮頚癌(子宮頚がん)の早期発見・早期治療に有効です。今回、HPV遺伝子検査の保険導入が見合わされたことは非常に残念な結果だといえます。
又、「ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しているかどうか?感染の陽性、陰性だけを調べる検査」もあるようなので、検査を受ける際には事前に確認することをお勧めします。
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