こんにちは。私は東京で働いている24歳の会社員です。
2010年の4月に子宮頸がん高度異型成を発見し、レーザー蒸散術の手術を受け、本日(2010年9月6日)、治癒したことを医師から告げられました。
この5ヶ月間、私にとってはこれまでの人生の中でも考えさせられることが多く、不安で泣きながら寝る日もいっぱいありました。でも、このサイトで管理人さんやみなさんの体験記を読ませていただき、苦しんでいるのは自分だけじゃないんだ、みんながんばって乗り越えているんだと勇気をもらい、私の体験記が少しでも誰かのお役に立てればと思い、投稿させていただきます。長くなりますがご容赦ください。なお、すべて事実を書きますが、あくまでも私個人の感想で、個人によって感じ方は違うので、ご理解いただければと思います。
私が高度異型成だと診断されたのは、何気なく受けた会社の健康診断の結果からでした。これまで、婦人科検診を受けたことがなく、なんとなく受けてみたいという好奇心と、会社が婦人科検診の費用を負担してくれることから、受診しました。
2010年3月30日、婦人科検診(細胞診)を受け、2週間も経たない4月9日夕方に病院から電話がかかってきました。
「婦人科検診で精密検査が必要なので、至急病院へ来てください。」とのことでした。「乳がんでしょうか?」と聞くと、「いえ、子宮頸がんの方です。」と言われました。一瞬何のことか分からず、私はガンなんだと思い込み、会社だったため泣きそうになりながら仕事をしたことを覚えています。誰にも言えず週末を放心状態で過ごしました。
翌週の月曜日に病院へ行き、診断結果を告げられました。「高度異形成クラスⅢb」でした。「うちの病院では精密検査はできないので、もっと大きい病院に行って下さい。紹介状を書きますから。」と言われ、私は会社から徒歩3分程の大きい病院に行くことに決めました。
思えば、会社に入って丸2年、残業も多く平日は仕事漬けで健康的な生活を送っているとは全くいえない状況でした。後から考えたら、毎日疲れて帰って、一人暮らしだったため食生活も乱れ、免疫力もかなり低下していたんだと思います。
「この段階はガンの一歩手前で、まだガンと決まった訳ではないですよ。精密検査を受けないと詳しいことは分かりません。」と含みをもった言われ方をされました。まさか24歳という自分の年齢でガンを意識したことは全くなかったため、ガンの恐怖と親を悲しませるという申し訳なさで、もうどうしていいか分からず、病院から帰る電車の中で泣いていました。
2日後の4月14日、紹介状を書いてもらった都内の大きい病院へ行きました。そこで再度細胞診を行い、翌週の21日にコルポ診・組織診を行いました。
細胞診を行った日辺りの私の精神状態はボロボロでした。会社では気丈に振舞う代わりに毎日帰りの電車で泣く日々。不安で不安で仕方なく、誰にも相談できない。もし手術して子供を産めない体になったら。こんな私は結婚さえできないんじゃないか。何を考えてもマイナス思考、仕事も手につかない毎日でした。でもやっぱり誰にも相談できないことが苦しくて、心配をかけるけど親には言わなければいけないと思い、まずは何でも話せる姉に電話をし、泣きながらこれまでの経緯を話しました。
それからすぐに母から電話がありました。さぞかし悲しんでいるかと思いきや、
「今からでも間に合うから、ガン保険入れておくから~!やっぱり疲れが溜まって免疫力が落ちていたんだよ。野菜いっぱい食べてよー!」と明るい声で言われました。母が強くて本当に救われました。
4月21日のコルポ診で「たぶん見た感じではガンではないですよ。最初の診断通り、クラスⅢbかと思います。」コルポ診・組織診をやっていただいた医師にそう言われました。ちゃんとした結果が出るのは2週間後と言われ、それまで待たなければいけません。結果が出るまでの2週間、病院からいただいた子宮頸がんに関する資料を何十回も読み、ネットや本屋さんで子宮頸がんをとことん調べました。そこで分かったことは、このガンは早期発見で治癒できるということ、性交渉をもった女性なら誰にでもかかる可能性があること。
医師からも「インフルエンザにかかるぐらい、誰にでもあり得ることですよ。特に最近若い女性に増えているの。あなたは今発見できて良かったと思わなきゃ!」と言われました。
医師にそう言われ、もっと前向きに考えよう!起きてしまったことは今更くよくよしても仕方が無い!今ならまだ治療すれば治るんだ!と、病気に対して前向きに考えるようになりました。
そう自分に言い聞かせると、これまで毎日沈んでいた気持ちが一気に楽になりました。
会社の上司(男)に病院でいただいた子宮頸がんの資料を見せ、今自分の置かれている状況、今後手術をする可能性があること、検査や治療で会社を休ませてもらうことを丁寧に説明し理解していただきました。
5月10日、診断結果が出ました。やはり「高度異形成クラスⅢb」でした。そして主治医は私に円錐切除術を勧めてきました。家族と一度相談して手術を行うか経過を見るか決めてくださいと言われましたが、その頃の私は既に覚悟ができていて、「今すぐにでも手術をしてください!!」と言いました。いつまでもこの状態を引きずりたくない、治すなら早く治したい、もやもやした気持ちのままだと何も手につかない。主治医はあまりの私の肝の据わりっぷりにビックリした表情でした。急いで手術の日程を確認してくださったのですが、手術室の空きがなく、円錐切除術は2ヵ月後までできないと言われました。私が、そんなに待てないから早く手術をしたいと言うと、「あなたはまだ若いから妊娠・出産のリスクを考えると、レーザー蒸散術にした方がいいかもしれない。それなら1週間後に可能です。どちらを行うかは自分で決断してください。」とおっしゃいました。
初めて聞いた言葉だったのですが、レーザー蒸散術とは、子宮頸部の表面の細胞をレーザーで焼き、悪い細胞を焼き殺す手術だそうです。
頸部を切り取る訳ではないので、妊娠、出産に対してのリスクはなく、手術も麻酔なしで日帰りでできるということでした。しかし、レーザー蒸散術は子宮頸部の表面の細胞にしか効果はないため、もし異型成が内部に及んでいた場合は、再度円錐切除を受ける必要があります。私は組織診で異型成が子宮頸部の表面にとどまっているとの診断だったので、運がよければレーザー蒸散術で治癒できるかもしれないという可能性にかけることにしました。こうして、ひょんなことからレーザー蒸散術を受けることが決まったのです。
5月17日、その日は会社を午前で早退し、1時から手術のため病院へ行きました。昼食抜き、化粧、マニキュア、コンタクトはNG、その他特に制約はありませんでした。病院へ着いて熱を測るとすぐに手術室へ通されました。ポンチョみたいなものを着て手術台へ上がり、レーザーで光が出るのでゴーグルを着けられ、手足を固定されました。助手の女性の方が隣についてくれていて、「緊張されているようですが大丈夫ですよ。すぐに終わりますからね。痛かったらすぐに言ってくださいね。」とやさしく声をかけてくださいました。
ネットでレーザー蒸散術の体験記を探しましたが、あまり行われていないのか情報が少なく、麻酔なしの手術なのでチョット違和感があるぐらいで痛みはないだろうと思い込んでいました。ピーという音が手術室に鳴り響き、子宮頸部にレーザーが当てられました。一言で言うと激痛でした。子宮を細い針でずっと突かれているような痛みでした。
もがこうにも手足を固定されているので動けず、あまりの痛みに声も出ません。痛いと言うこともできずにずっと歯を食いしばって我慢していました。10分(推定ですが)ぐらいで手術は終わりました。あまりにも痛かったので手術中勝手に涙が出ていた程です。短時間で終わったのでよかったですが、もしあの痛みがもっと続いていたら、痛みで気を失っていたかもしれません。私にはそれぐらいでした。
手術の感想は、麻酔をすべきだということに限ります。(病院によっては麻酔をする所もあるそうですが。)
もし今後レーザー蒸散術を受ける予定の方がいたら、麻酔をすることをお勧めします。私は無麻酔でかなり苦しんだので・・・。
手術後はすぐに帰っていいと言われ、こんなにさらっと帰っていいんだと思うほどあっけなかったです。しかし、手術後1時間半ほど下腹部の痛みがひどく、歩くのも大変なほどで病院の隣の薬局のベンチで痛みが治まるまで休んでいました。子宮に漬け物石を乗せられたようなずっしり重い痛みです。ランチでもして帰ろうかなと思っていた私には大誤算でした。
術後は水みたいなおりものが大量に出るため、1ヶ月は毎日ナプキンをして過ごしました。
痛みは特になく、1週間後病院へ経過観察に行きましたが、経過は良好でした。その後は以下の通りです。
6月14日、術後1ヶ月の検診 傷口は順調に回復しているとのこと。
7月12日、術後2ヶ月の検診 細胞診を行う。
8月23日、前回の細胞診の結果、「クラスⅡ」とのこと。再度細胞診を行う。
9月6日、前回の細胞診の結果、「クラスⅠ」。正常な細胞に戻りましたと告げられる。
以上が、私が高度異型成を治癒するまでの記録です。
この経験を通して感じたことは、やはり早期発見の大切さ、検診の大切さです。自覚症状が全く無いため、検診を受けない限り早期発見はできません。怖がらずに、もしよくない結果だったとしても、今発見できてよかった!と思えば前向きに治療に臨めます。
さらに、私は運がいいことに病院での治療もスムーズにいき、高度異型成の発見から1ヶ月で手術、発見から5ヶ月で治癒に至りました。主治医や支えてくれた家族にとても感謝しています。
そんな中でも、やはり病気を前向きに考えられたことも良かったと思います。絶対に治ると自己暗示することで、日常生活の中であまり病気のことを考えなくなり、気持ちが多少楽になります。私は今回の経験を家族と2人の友人以外誰にも話していません。ネットで他のサイトを見る限り、性交渉の人数が多い、性交渉の年齢が若い人ほどかかりやすいなど、あまり良くない印象を受けるような書かれ方をされていて悲しい気持ちになります。もし自分の体験談を話して偏見をもたれたらどうしようと、話すことをためらっていました。でも、検診の必要性をもっともっとたくさんの人に知ってもらいたいし、自分の体は自分で守ってもらいたいので、身近な人に機会があれば少しずつですが話してみようと思うようになりました。
このブログで体験記を書いてくださったみなさんや、主治医や家族など、たくさんの人にお世話になった分、少しでも誰かの役に立てればと思います。
今、子宮頸がんで悩んでいる方々に、私の体験記が少しでもお役に立てることを願っています。
▽管理人@sarryより
レーザー蒸散術の貴重な体験談をお寄せ頂き、ありがとうございます。高度異型成発覚から治癒までの流れがシンプルに書かれていて、とても読みやすく多くの方の参考になると思います。
偏見があるのは残念な事ですが、こうしてネット上で多くの方のお役に立てれば幸いだと思います。その後のご報告もいただけるとありがたいです。