HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)の感染予防法
2019年7月現在、HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)感染を防ぐ方法は3つ。
- HPVワクチン接種
- コンドームの使用
- 男性器を石鹸でよ~く洗う
それぞれのメリットやデメリット、詳細について記載します。
1、HPVワクチンの接種
HPV感染予防で有効なのが、HPVワクチンの接種。
HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)は、性交渉で感染することが分かっているので、性交渉経験が無いうちにワクチン接種することが重要。
<2019年7月追記>
HPVワクチン接種することで、異形成(cin2+)を治療する効果があることが判明しました。詳しくは▼下記に記載。
HPVワクチン接種でHPV感染症と異形成(CIN2+)を治療できる効果があることが判明 2019.6
2019年6月、HPVワクチン接種が、異形成の治療にも有効だとの研究結果が発表されました。
これらの結果から著者らは、HPVワクチン接種プログラムは、接種対象の若い女性のHPV感染症とCIN2+を大きく減らすだけでなく、集団免疫効果で男性を含む母集団全体の肛門性器疣贅を減らす効果が見られた。また、接種対象の年齢を幅広くし、ワクチンカバー率を高めると集団免疫の効果がより早く現れることが示唆されたと結論している。
引用:日経メディカル Lancet誌から「HPVワクチンは子宮頸部上皮内異形成を減らす」HPV感染率や肛門性器疣贅では集団免疫効果も見られる
HPVワクチンの接種は、性交渉が未経験のうちに打たなければ意味はないとされてきました。
が、2019年6月に「異形成の治療にもHPVワクチン接種が有効」だと分かってきました。これが本当ならば、既に感染しているHPVについても効果がある、ということになります。
HPVワクチン接種は、肛門性器疣贅(尖圭コンジローマ)の予防効果もあり
上記研究結果から、HPVワクチン接種はHPV感染を予防するだけでなく、異形成の治療、さらには「肛門性器疣贅(尖圭コンジローマ)」の予防にも効果があることが分かりました。
「HPVワクチンの積極的な接種勧奨の再開を」:日経メディカル https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201907/561661.html?n_cid=nbpnmo_twbn #日経メディカル
HPVワクチン 日本で推奨再開に向けての動き 2019.7
2010年から日本でもHPVワクチン接種が開始されました。
2019年現在、日本でもHPVワクチン接種は行われています。が、当初の期待とは裏腹に、副作用についての報道が多く、国からのHPVワクチン推奨は引き下げられたままの状態。
HPVワクチンが定期接種になった2010年当初は、約7割がHPVワクチン接種を受けていましたが、日本政府の積極的な接種勧奨が中止・引き下げられたことで、2019年現在のHPVワクチン接種率は1%以下。。
一方、HPVワクチン開発者のイアン・フレーザーがいるオーストラリアでは、HPV接種が進み、子宮頸がんの撲滅も視野に入るほどの効果が出ています。
堀江貴文さんもHPVワクチン接種の再開を訴える
予防医療普及協会顧問の稲葉可奈子氏(関東中央病院[東京都世田谷区]産婦人科)は、「HPVワクチンが諸外国で効果を上げている。特にHPVワクチンの接種に積極的に取り組んできたオーストラリアでは子宮頸癌の撲滅も視野に入ってきている。日本人だけがHPVの感染リスクにさらされる状況にあることを、産婦人科医としてこれ以上見過ごすことはできない」と主張する。
引用:日経メディカル 産婦人科医とともに堀江貴文氏らが訴え
「HPVワクチンの積極的な接種勧奨の再開を」
日本では、副作用の懸念からHPVワクチン推奨は積極的に行われなくなりました。
副作用はどのワクチン接種にも、起こるリスクはつきもの。オーストラリアの子宮頸がん減少効果をみれば、今後の推奨見直しは近そう。今後も継続して新情報アップします(#^^#)
【記録】日本のHPVワクチン接種の現状(3)2010.10.22
「HPVワクチン」が日本でも接種可能になり、当サイトbbsやメールでも「HPVワクチン接種しました」というご報告や体験談が多く寄せられています(寄せて下さった方、ありがとうございます。)
HPVワクチンを接種すれば全てのHPV型の感染を防げるということではありませんが、欧米の研究では子宮頚癌の70%はHPV16型と18型が原因とみられており(これがそのまま日本人に当てはまる訳ではないかもしれませんが)、HPVワクチンを接種することで子宮頚がんになる女性がかなり減少するのは明らかです。
しかしながら、他にも子宮頚がんの原因となるHPV型はありますので、HPVワクチンを接種したからといって、一年に一度の婦人科検診を受けなくて良いというものではありません。
HPVワクチン接種された方も、これから接種される方も、そして接種しない方も、一年に一度の婦人科検診を怠らないようにお勧めします。
又、2010年10月現在、高額(皆さんのお話を聞いていると15,000円前後~21,000円前後。これを3回接種する)になるHPVワクチン接種について、国と地方自治体で半分ずつ負担し、無料接種できるようになりそうです。
管理人@sarryもまだ接種していませんし、現時点では、今後も特に受けようとは思っていないのですが、これから思春期を迎えて成長していく女の子たちの事を考えると、家庭の負担無しに全ての女の子がHPV接種できるようになっていくことは、大変望ましいことだと思っています。
記入日:2010年10月22日
【記録】日本のHPVワクチン接種の現状(2)2007.12.20
2007年12月18日の日本経済新聞(夕刊)「夕&Eye」欄に、『子宮頸がん予防ワクチン、承認へ』というタイトルで、日本のHPVワクチンの現状が書かれていました。
『今回、英系のグラクソスミスクラインと万有製薬が承認を申請したワクチン(16型、18型)は半年間に三度接種すれば体内に抗体ができ、HPVの感染を防ぐ。
(しかし)限界もある。
日本人は別のハイリスク型HPVに感染している人も比較的多くワクチンで完全に防げるわけではない。ワクチンには感染してしまったHPVを除く効果はない。性交未経験の若い世代に接種することが重要。普及への課題が、約四万円とみられる接種費用負担と親の理解。
(しかし)日本では議論すら始まっていない。』
記入日:2007年12月20日
【記録】日本のHPVワクチン接種の現状(1)2006.10.1
日本での「子宮頸がんワクチン」は、まだ治験段階で海外と比べても遅れています。
外国人のデータがそのまま日本人に当てはまるものではないことや、日本人対象としたヒトパピローマウイルス(HPV)のデータ収集時期が海外より遅れていることをみれば何となく想像できる結果ではないでしょうか。
2006年4月から、製薬会社「グラクソ・スミスクライン」がHPV16型、18型に対するワクチンの治験を開始しており、「万有(ばんゆう)製薬」が6月から、16型、18型と、尖圭コンジローマの原因となる6型、11型の治験を開始しました。
18歳~26歳の、「ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染していない、健康な女性1000人」を対象に行っているそうです。
記入日:2006年10月1日
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン開発者:イアン・フレーザー
2007年7月15日の朝日新聞「ひと」欄に、「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン開発者」が紹介されていましたのでご紹介します。
『先日40歳で亡くなった人気女性歌手「ZARD」の坂井泉水さんが患っていた子筥頚がん。
日本では20~30代の患者が急増し、30代の死亡率は10年で2倍になった。
世界では年間25万人の女性が亡くなっている。このがんの原因は、ヒトパピローマと呼はれるウイルスだ。
「感染症なら、ワクチンができるはず」。そう思いついたのが20年ほど前。
だがこのウイルスを人工的に増やせず、難航した。
それならばと考えたのが、球状のウイルスの「殻」だけ作り、本物と誤認させて体内に抗体を作らせる方法の利用。
殻の部品となるたんぱく質を作ってしばらく放っておくと、たんぱく質同士が自発的に集まり、殻を作っていた。
昨年6月、同僚の娘に自ら第1号ワクチンを接種した。模様は全豪にテレビ中継された。
「研究が実用化されて人の役に立つ幸運は少ない。感動しました」
世界保健機関(WHO)の試算によると、このワクチンが全女性に接種されれば、約60年後には子宮頸がんは地球上から無くなるという。
70カ国で承認されているが、日本はまだ臨床試験の段階だ。
「検診の受診率が低い日本でも早く使えるようになって欲しい」。先月来日し、訴えた。
昨年オーストラリアの「今年の人」に選ばれ、英エリザベス女王と晩餐を共にした。
「弁護士と技術者志望だった息子たちが医師志望になったのがうれしい』
オーストラリアを始め、既に世界80ヶ国以上では、HPVワクチン接種が開始されています。
オーストラリアの場合、ワクチン接種費用は12~26歳の女性に無料で行われていますが、男子は自費のため、感染の媒体者になる男子のワクチン接種が少ないといわれています。
<2019.7追記>
HPVワクチン接種に積極的だったオーストラリアでは、子宮頸がんは根絶状態。若い女性から性行為対象年齢の男性女性へとHPVワクチン接種対象者を広げることで、HPV感染者が減ったことが高評価されています。
ワクチンとは
「ワクチン(vaccine)」は、その病原体に感染する前に接種して、感染症の予防に用いる医薬品のこと。
毒性を無くしたか或いは弱めた病原体から作られ、「弱い病原体を注入することで体内に抗体を作り、以後、感染症にかかりにくくする」という仕組みです。
例えばインフルエンザワクチンは、インフルエンザ菌によるウイルス感染が原因の病気を予防(もしくは症状を軽く)することができます。
2、コンドームの使用でHPV感染予防できる?100%は防げない
HPVワクチン以外にHPV感染を防止する方法として有効なのが、コンドームを使用した性交渉。
ただ、100%のHPV感染予防はできません。理由は、コンドームで覆われない部位にもHPVは存在するから。
3、いちばん簡単なHPV感染予防法:石鹸で洗う
「ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染はありふれたもの」ですが、できれば HPV感染を防ぎたい ですよね。
特に、異形成や子宮頸がんの治療・自然治癒経験者はHPV再感染を不安に思った経験があると思います。
ここからは管理人@sarryが主治医に聞いた情報であり、あくまで参考程度に読んで欲しいのですが「ヒトパピローマウイルス(HPV)は石鹸でよく洗うことで排除できる」そうです。
(詳しくは『術後1年検診~管理人の異形成体験談』をお読みください)
石鹸で男性器を洗うとHPVは消滅できる?
管理人@sarryの主治医は、まだ日本でHPVの研究が行われていない頃から積極的に研究を行ってきた医師で「花粉も払えば落ちるのと同じで、HPVも手や皮膚、男性器についても落とせばいなくなる」と仰っていました。
男性の精液からHPVが検出されることもあるので、男性のHPV感染を100%防ぐことは難しいのかもしれません。
ただ、性交渉を終えた男性が、男性器の粘膜内にHPVが入り込む前に石鹸で男性器やその周辺をしっかり洗っていれば、男性のHPV感染も減るとの見解でした。
<2009/07/27追記>
上記内容・主治医と管理人@sarryの会話のやり取りについて、この情報は一般的な見解では無いかもしれません。あくまで1人の医師の見解であり、その患者との会話のやり取りである事をご了承下さい。
HPV再感染が怖いあなたへ
私は以前から、異形成の治療後に過剰にHPV再感染を恐れていたわけではありません。今でもその気持ちは変わりません。全く気にしていないと言っても過言では無いかもしれません。
「男性器内や精液中にHPVが含まれることもある」という情報を知ってからも、「私のパートナーもそうかも?」と気にした事は殆どありません。
もちろん、HPVについてはよく分かっていない事も多いので、男性器に付着したHPVがどれくらいの確率で男性器内に入り込むのか?そうなるまでの期間はどれくらいか?など分からないこともあります。パートナーが男性器に付着して持って帰ってきたHPV全てを、石鹸で洗うことで100%確実に排除出来るとは思っていません。
ですが、この事を知ったことで、「万が一、パートナーが他の女性と関係する時には、(避妊の観点からも)自分で用意したコンドームを必ず使用して、性交渉後にはなるべくすぐに必ず石鹸でよ~く洗って、帰宅後は改めて私がよ~く洗う」事で、少なくとも何もしないよりは、かなりの確率で私への新たなタイプのHPV再感染は予防できると思っているのです。
「異形成や子宮頚がんを治療したとしても、また感染してしまうのではないか・・・そう思うと怖くて性交渉(SEX)できません」という相談も、当ブログに寄せられています。
管理人@sarryも全く考えなかったわけではありませんが、HPVについての知識をある程度深めていく中で、辿り着いた答えがあるので共有します。
『ヒトパピローマウイルス(HPV)感染自体はありふれたものだということ。
高リスク型HPVに感染しても子宮頸がんへ進行するのはごく一部だということ。
その前の異形成の段階で治療できるということ。
半年~1年に一度検診を受けていれば異形成(又は初期の子宮頚癌)で発見できるということ。
性交渉前に男性器を石鹸でよく洗うことでかなりのHPVを排除できるということ。
男性も免疫力でHPVを自然排除するということ。
そして万が一、再感染してしまっても自然排除する自己免疫力があるということ。
その為に普段から免疫力を低下させない生活を送ることが大切だということ。』
HPVの再感染が頭をよぎるとき、管理人@sarryはこれらのことを思い出して、免疫力を上げる生活が送れているかどうか、今の生活を見直すようにしています。
参考:管理人@sarryが免疫力を上げるためにやっていること
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