HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)とは?子宮頸がんや異形成の原因菌
1970年代後半、子宮頸がんの組織中にヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子が見つかったという検査結果から、ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸がんを引き起こす犯人ではないかと研究され始めました。
子宮頚がんや異形成の組織中に見つかるのは、「ある特定の型」のヒトパピローマウイルス(HPV)が多いということが判明。
子宮頸がんや異形成を引き起こす「高リスク型(High risk type)」と、がんの元にはならないもののイボを作る「低リスク型(Low risk type)」とに分類されています。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、2007年9月現在分かっているだけで300以上のHPV遺伝子型(タイプ)があり、子宮頸がんの原因に関連しているのは、数種類の「高リスク型」。
しかし、高リスク型に感染しても全員が発がんするのではなく、免疫力の低下や、喫煙などの要因が引き金となり、HPVの長期感染が続き、異形成へと進行、子宮頸がんになることが分かっています。
低リスク型HPVは、「尖圭コンジローマ(せんけいコンジローマ)」という治療可能なイボを作ります。
HPVは性交渉があれば誰でも感染するありふれたウイルス
HPV(Human Papilloma Virus:ヒトパピローマウイルス)は、とてもありふれたウイルス。
性交渉の経験がある女性の80%程度は、一生のうちに一度はヒトパピローマウイルス(HPV)に感染するといわれています。
子宮頸がんは扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)と腺がん(せんがん)の2つに分けられますが、HPVが関係するのは「扁平上皮がん」
腺がんについては、原因など詳しいことは分かっていません。当ブログ「リンクページ」に、腺がん体験記などへの紹介リンクがありますので、腺がんの人は訪れてみてください。
ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染するとどうなるのか?
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉で感染するSTD(性感染症)です。
HPVは子宮頸がんや異形成を引き起こす原因の1つですが、感染しただけで子宮頸がんになるわけではありません。
感染したHPVの殆どは子宮頸部の表面細胞に付いただけで、しばらくすると免疫力や新陳代謝などで細胞とともに剥げ落ちるからです(7~8ヶ月という報告もある)
ところが感染部分に小さな傷があったり、免疫力の低下などでヒトパピローマウイルス(HPV)が長期感染すると、細胞深く侵入して定着。細胞の異常分裂を引き起こし異形成や子宮頸がん化へと進行します。
高リスク型HPV感染例の1~3%が前がん病変(異形成)まで至り、そのうちの25%が子宮頸がんになると言われています。
これらのデータを合わせて考えると、HPVに感染した女性1万人のうち約3~7人が子宮頸がんを発症する計算になります。
HPVが感染(潜伏)する場所
- 外陰部
- 咽頭
- 肛門周辺
- 肛門内
- 尿道口
- 膣
- 子宮頸部
- 陰茎亀頭部周辺
以前は肛門を使用した性交渉といえば男性同士の同性愛者が多かったのですが、近年ではごく普通の若い女性にも肛門を使用した性交渉が広がりつつあります。
HPV感染は子宮頸がんや異形成のみでなく、大腸がんや肛門がん、咽頭がんの原因にもなるので、今後は女性の罹患も増えると予想されます。
HPVの潜伏期間は?10年を超えることもある
ヒトパピローマウイルス(HPV)の潜伏期間についてなど、詳しい事は分かっていません。
最終性交渉から10年以上経て、異形成が発見されることもあるそうです。これはつまり、「最後の性交渉から10年近くHPVが潜伏していた」という意味です。
日本人にとっての高リスク型HPVと低リスク型HPV
上記したように、欧米人女性には高リスク型でも日本人女性には低リスク型だったり、その逆だったり、欧米人のデータがそのまま日本人に当てはまるものでも無いようです。
管理人@sarryの主治医から得た「日本人女性にとってのヒトパピローマウイルス(HPV)高リスク型、低リスク型などについての情報」を掲載しておきます。
- 低リスク型HPV(心配無し):6、11、42、43、44、53、54、70型
- リスク型HPV(少しリスクがあるが大したことは無い):35、56、59、61、66、80、82型
- 高リスク型HPV:16、18、31、33、39、51、52、58型
HPV感染は遊びすぎが原因?経験人数が1人でも感染する可能性はある
「性交渉の経験がある女性の80%は、一生のうち一度は感染する」
それくらいありふれた「ヒトパピローマウイルス(HPV)」ですが、性交渉で感染することから陰湿なイメージを持つ方もいるかもしれません。
相談した友人にヘンな目で見られ避けられるようになったり、恋人に「俺が移したんじゃない!浮気したんだろ!」と言われたり・・・中には「遊んでいる人がなる病気だ」と言われ、傷ついている女性もいます。
その友人や彼はHPV検査を受けた事があるのでしょうか?
自分が感染しているかどうかも確かめずに、「私は大丈夫!部外者です」と言える、その自信はどこからくるのでしょう?HPV検査を受けていたら、結果が出るまでの間、不安じゃなかったのかな・・「身近に感染者がいるのだから私も感染しているかも・・・」と不安を感じることはないのでしょうか?せめて検査を受けてから言って欲しいものです。
誰から移されたか調べたい!HPV感染元探し
中には、「いつ・誰から感染したか?」ヒトパピローマウイルス(HPV)感染元探しに躍起(やっき)になる人もいるかもしれません。
ですが、「性交渉の経験がある女性の80%は、一生のうち一度は感染する」くらい有触れたものです。仮に感染元が分かったところで、異形成や子宮頸がんになった事実は変わりません。
感染元が分かれば異形成や子宮頸がんが治るのであれば、感染元探しの意味はありますが、そんなことはありません。気持ちはとてもよく分かりますが、HPV感染元探しは無意味だと割り切って、体を治す事に専念すべきだと管理人@sarryは思います。
HPV感染が男性に及ぼすリスク
現在のところ「ヒトパピローマウイルス(HPV)」が男性に与える影響についてはよく分かっていませんが、高リスク型HPVが陰茎がん(いんのうがん)や肛門がん、咽頭がんなどを引き起こす原因になることがあるといわれています。
HPVは、尿道から前立腺内に侵入して留まり、精液の中に混じり排出されている場合があります。
子宮頸がんの女性のセックスパートナーである男性の性器に何も症状がないにもかかわらず、その男性の精液中に子宮頸がんと同型の高リスク型HPVが高い確率で検出されているとの報告もあります。この場合、HPVが精液からセックスパートナーへ感染する可能性も考えられます。
男性のHPV感染について思うこと
上に記載した情報(精液からHPV感染の可能性があるということ)は、”そういう可能性があります”ということであって、必ず精液からも感染するという意味ではありません。HPVに感染している男性の全ての精液からHPVが検出されるという意味でもないと思います。
「もし自分のパートナーの前立腺内にHPVがいたら・・・」と考えると、子供を作ろうにも不安になりますが、男性にも自己免疫力が備わっていることを思い出してください。
そして自分も免疫力を低下させないことで、万が一体の中にHPVが入っても自然排除するんだ!と管理人@sarryは考えるようにしています。
異形成の【自然治癒・再発予防】免疫力を高める暮らし・食べもの・飲みものまとめ参考:管理人@sarryが免疫力アップのためにやっていること
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