2012年8月に、子宮頸がん検診の啓蒙冊子へのインタビューを受けました。
養護教諭、自治体ワクチン担当者向けに子宮頸がん予防啓発の冊子を発行している出版社のライターです。
異形成で円錐切除術を受けた例として取材をお願いできないでしょうか。
子宮頸がんは予防できるがんであり、がんになる手前で発見できれば出産も十分可能である例を示し、検診やワクチンの重要性を啓発したいと考えています。ーメディカルレビュー社 ライターさんからの取材依頼メールよりー
こちらの冊子は一般発売されませんので、当記事に転記します。
管理人@sarryへのインタビュー記事「元・異形成患者に聞く」
高度異形成で子宮頸部 円錐切除術を受けた後に二児を出産
異形成は自覚症状がないからこそ、検診の大切さを考えて欲しい
たまたま受けた検診で異形成が発覚
26歳のとき、たまたま受けた子宮頸がん検診で「擬陽性(ぎようせい)」を告げられた。3か月後の細胞診でも同じ結果が出たため、国立がんセンターで精密検査を受けると、がんへ進行するリスクが高い「高度異形成」と診断された。
定期的な精密検査で経過観察を続けたが、3度目の精密検査でも好転の兆しがなく、「がんと診断されるギリギリの状態」であったため、転院して子宮頸部 円錐切除術を受けるように勧められた。
転院先の2度目の検査で自らHPV検査を希望したところ、”しつこいハイリスク型” に感染していることが判明した。高度異形成がわかってからちょうど1年。内部でがんが進行している可能性もあると説明されたこともあって、手術を受ける決心がついた。
日帰り手術で子宮頸部 円錐切除術を受ける
手術は全身麻酔だったがわずか20分で終わり、その日のうちに帰宅できた。麻酔から覚醒直後は身体が重たく、下腹部にも軽い違和感があったが、翌日には日常生活に戻れたほどの負担が少ない手術だった。
病理検査では、12分割した検体のうち6切片から高度異形成が認められた。それまでの精密検査でたびたび高度異形成の病変を採取していたことから、術前の細胞診では中等度異形成の診断だったが、やはり内部に高度異形成は存在していて、しかもほとんど がんに近い状態だったという。
手術から3か月後、6ヶ月後、1年半後に受けた検査ではいずれも異形成も異常も見つからず、最新の検査でも「正常」は続いている。手術から3年後の2009年に暮れには第一子、2012年2月には第二子を出産したが、いずれも円錐切除術が妊娠・出産に与えた影響はまったくなく、順調なマタニティ期間を経ての出産だった。
管理人@sarryからのメッセージ
最初に「異形成」と告げられたとき、検査結果を受け取る手がプルプルと震えていたのを今でも覚えています。月経も順調で健康だと思っていたのに、身体の中で密かに変化が起こっていたことにショックを受けました。
精密検査の結果が出るまでの2週間は気持ちが不安定になり、通勤途中や仕事中でも涙が出てきて、悪い結果ばかり考えていました。幸い信頼できる主治医と出会えて子宮頸部 円錐切除術を受けられたので、がんに進行することもなく、2人の子供にも恵まれ、本当によかったです。
私たち異形成を経験した者がHPVワクチンを受けるときは自費ですから、助成付きでワクチンが受けられる中高生がうらやましいです。でも、ワクチンを接種された方も、これから接種される方も、そして接種しない方も、婦人科検診は怠らないようにしてください。身近に感じられないとなかなか行動に結びつきにくいと思いますが、子宮頸がんは早期発見がとても大切なので、自分にもがんや異形成の可能性があると思って、ぜひ検診を受けて欲しいです。
管理人@sarry(さりぃ)