子宮頸がんの前がん病変である【子宮頸部異形成】に関する情報交流サイト

子宮頸部異形成とは?子宮頸がん一歩手前の「前がん状態」

子宮頸部異形成と子宮頸がんの違い:異形成は前がん状態(がんではない)

正常細胞から子宮頸部異形成、子宮がんになるまでの細胞の変化イラスト

正常細胞から子宮頸部異形成、子宮がんになるまでの細胞の変化

子宮頸がんは、異形成上皮(軽度 → 中等度 → 高度 )→ 上皮内がん → 浸潤がん と進行します。

正常な細胞が「がん」になる場合、細胞(さいぼう)の核(かく)の形に変化が現れます。

子宮頸がんでは無いものの、正常細胞では無い変化した状態のことを「異形成(いけいせい)」と言います。

HPV(ヒトパピローマウイルス)」の感染によって生じた異形成の大半(90~95%程度)は、免疫力でHPV(ヒトパピローマウイルス)を自然排除し、自然治癒しますが、一部は、軽度→中等度→高度異形成にゆっくりと進行し、やがては「がん」になります。

子宮頸がん・異形成の原因は何?

子宮頸がんや異形成の原因は、HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)の長期感染。

性交渉で移る性感染症です。

参考ブログ記事:HPVについて詳しくはこちら

子宮頸部はどこ?場所と役割をイラストで見る

子宮頚部の位置

「子宮(しきゅう)」は中身がカラの洋梨型をしており、下方の狭い頸部と上方の広い体部の2層に分かれています。

「子宮頸部(しきゅうけいぶ)」は、子宮の下の方にあり、直径は約2~2.5cmで、膣または産道の中へ2.5cmほど円筒状に突き出していて、子宮体につながっています。

子宮頸部は普段、ぴったりと閉じていて、子宮内への異物、水やウイルスなど病気の感染源が入るのを防いでいます。子宮から出てくる月経血やその他の組織を通す弁の役割をし、精子は子宮頸部を通って受精にいたります。妊娠中には出産まで、子宮頸部が胎児が子宮の外に出ないように保護しています。

子宮頸部の役割
  • 子宮への異物や水、ウイルスの侵入を防ぐ
  • 生理中には弁の働きをする
  • 胎児が落ちないように子宮頸部でせき止めている

異形成はHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)の消滅で自然治癒する

子宮頸がんの一歩手前の状態「異形成」になる原因の1つは、HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)の感染です。

>>HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)について詳しく読む

いま子宮頸部にある異形成も、自己免疫力で「ヒトパピローマウイルス(HPV)」が消滅した場合には、異形成もほとんどが消滅することが知られています。自然治癒です。

仮にHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)に感染(再感染)しても免疫力でウイルスを体外へ排除してしまえば異形成に進行することがありません。

 

軽度異形成(3a/LSIL/as-cusアスカス)は大部分が自然治癒する

異形成は、将来、「がん」になる可能性のある病変(前癌病変)ですが、「がん」ではありません。

異形成の程度が軽い「軽度異形成」は自然に治り、大部分が将来消えてしまうことが多いので通常は治療は行いません。

又、高度異形成で「高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)」に感染している場合、子宮頸がんへ進行してしまうことがありますが、全てではありません。

正常細胞から癌細胞になるまで

私が国立がんセンター中央病院で頂いた資料(上図)には、異形成から子宮頸がんへ進行するのは軽度異形成では1~2%、中等度異形成では20%程度、高度異形成では40%程度と書かれていました。(2006年当時の資料)

異形成は高度→軽度へ可逆する

また、異形成は「可逆性(かぎゃくせい)」であるため、高度異形成から軽度異形成になることもあるそうです。

これは一度、「組織診(そしきしん)」を行い、高度異形成と診断され、定期的(2、3ヶ月に一度)に組織診を受け続けることで、異形細胞が採取されることと関係しています。

異形成は定期検査で取り切れてしまうこともある

又、「組織診」で怪しい細胞・組織を採取しつづけることで、無くなってしまう場合もあります。(病巣が浅い場合、定期的に取り続けていくうちに取り切れてしまう)

高度異形成はまれに0期の上皮内癌(初期がん)を含む

国立がんセンター中央病院では、「高度異形成」が一度判明した場合、「2ヶ月に一度の組織診検査を1年間続けても異形成が消えない場合は、治療(手術)を行った方がいい」という考えでした。

別の病院では、「一度、高度異形成が出て、リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)感染がある場合は、治療(手術)を行うのが通常だ」と言われました。

又、婦人科の治療指針の教科書のようなもの(婦人科学会の定める治療ガイドライン)では、「高度異形成は稀(まれ)に、上皮内癌(0期の初期癌)を含む場合があるので、治療(手術)を勧める」ことになっているそうです。(ガイドラインはその時の治療技術などで変わります)

コルポ診・組織診で確認できるのは、目で確認できる範囲の検査結果で、目に見えない部分・届かない部分・内部(子宮の奥側)では、進行している可能性が出てくるからです。

実際、高度異形成で手術を行い、病理検査の結果で、0期の「がん」が発見されることも珍しくありません。

異形成は経過観察(フォローアップ)を必ずすること!

多くの人は子宮がん検診(子宮頸部細胞診)の検査結果で引っ掛かった場合、「「がん」かもしれない・・!」と焦って検索すると思います。

そして、「異形成って癌じゃないんだ・・90%は自然に治るんだ・・!じゃあ気にしなくていいや」と楽観的にみて放置する人も存在します。

異形成のうち90%は自然治癒するのはこれまでの結果として統計が出ている事実です。だからそんなに深刻になる必要はありません。ただ、だからといって定期的な再検査を受けずに放置することはおすすめしません。

医療機関から指示される「3ヶ月後に再検査しましょう」は必ず守るようにしてください。

本当に極まれにではありますが、「再検査を放置して、年1回の婦人科検診もさぼっていたら・・子宮頸がんに進行していました(>_<)」というとっても悲しい経過報告を頂いたことがあります。

異形成は子宮頸がんではないので、いますぐ治療(手術)が必要ではありませんが、万が一のこともあるので、定期的な検査(フォローアップ)は欠かさないようにしてください。

 

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管理人@sarry(さりぃ)

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