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子宮体がん検診の検査と結果分類、原因、症状、治療法について~受けておきたい婦人科検診

「子宮体がん」ってどういう病気?

子宮は中身がカラの洋梨型をしており、下方の狭い頸部と上方の広い体部の2層に分かれています。
この子宮体部に発生する「がん」を子宮体癌(子宮体がん)と言います。

子宮体癌(子宮体がん)にも2種類あり、子宮内膜に発生する子宮内膜「がん」が子宮体癌(子宮体がん)の95%を占め、筋肉に発生する肉腫は5%です。

初期段階で発見・治療できれば5年生存率は約85%と高くなります。

「子宮体がん」の原因について

子宮体癌(子宮体がん)、特に子宮内膜「がん」の原因は、食生活の欧米化によるホルモン異常によると考えられており、約80%が女性ホルモン(エストロゲン)の持続的な刺激により子宮内膜が過剰に増殖することで起こります。

又、高齢出産や妊娠未経験の女性が増えてきたことも大きな原因です。しかし、同じ子宮体癌(子宮体がん)でも肉腫の危険因子ははっきりと分かっていません。

子宮体癌(子宮体がん)は閉経前にはめったに起こらず、閉経後の更年期以降になることが圧倒的に多く起こります。
なぜなら、子宮内膜は月経で剥がれるためそこでできた「がん」も一緒に剥がれ落ちるからです。

最近は30代の子宮体癌(子宮体がん)も増えていますが、閉経前に子宮体癌(子宮体がん)になりやすいのは月経不順の人です。
ホルモンバランスが崩れるなどで月経不順が起こり、子宮内膜が過剰に増殖し続けると子宮体癌(子宮体がん)が起こりやすくなり、発生した「がん」が月経で剥がれ落ちることなく増殖してしまうからです。

従って周期的な月経があれば子宮体癌(子宮体がん)の心配はありません。

又、同理由から低用量ピルを服用し毎月定期的に月経が起きることで子宮体癌(子宮体がん)を予防できることが分かってきており、低用量ピルを5年以上服用している人はしていない人に比べて発生率が低下し、服用期間が長いほど予防効果は高くなります。

「子宮体がん」の症状について

子宮体癌(子宮体がん)の場合、0期の「子宮内膜異型増殖症」の段階で不正出血などが起こります。
更年期以降や閉経後の不正出血は量の多少に関わらず検診を受けることが大切です。

又、初期には全く症状が表れない人もいるのでできれば40歳以上になったら自覚症状が無くても年に一度の定期健診を行うのが望ましいです。

「子宮体がん」検査方法について

受診者の負担が少ないのでまず最初に膣の中から超音波を当てる「経膣超音波検査」を行われることが多いです。

経膣超音波で子宮内膜の厚さ、形態を調べることで0期の「がん」は発見されやすく、おおよそ子宮体癌(子宮体がん)も診断可能です。

その後、子宮内膜を採取して細胞を調べる「子宮内膜細胞診」を行います。直径2.5~3mmの細い棒で子宮内膜を擦り取る方法と、注射器の先にポリエチレンのチューブを取り付けて子宮内膜を吸引する方法があります。

子宮体部は子宮頸部に比べて痛みを感じやすいのでどちらの方法でも多少の痛みを感じ、検査後2~3日程出血を伴うこともあります。

「子宮体がん」が疑われる場合について

経膣超音波検査・子宮内膜細胞診の結果、悪性を疑われる場合はさらに詳しい検査を行います。

キューレットという小さな耳かき状の器具を使って子宮内膜の組織を採取して組織診を行います。
子宮内膜の組織診は外来で麻酔無しで行えますが、痛みや痛みに対する恐怖感がある場合には麻酔を用います。

又、子宮体癌(子宮体がん)では、腫瘍マーカー(癌が生産する淡白)も参考になるので血液検査も行います。

子宮体癌(子宮体がん)が確定すると「がん」の広がりをみるためにMRIを、転移を調べるためにCTを行います。

「子宮体がん」の進行期分類について

子宮体癌(子宮体がん)は手術後に初めて進行期を知ることができます。

1期…「がん」が子宮内にとどまっている。
2期…子宮頸部まで進展している。
3期…骨盤腹膜、膣まで進展し、腹水やリンパ節転移がある。
4期…膀胱や大腸などの他の臓器、部位に遠隔転移をしている。

「子宮体がん」の治療について

子宮体癌(子宮体がん)の治療は一般的に手術、放射線治療、抗がん剤を使用する化学療法を併用します。
さらに内膜癌(内膜がん)の場合では、女性ホルモンのプロゲステロンを4~6ヶ月間、毎日服用するホルモン療法も用います。

又、妊娠を強く希望し、極めて初期のものや「がん」細胞の悪性度が低い高分子体癌の1a期の人には子宮内膜を全て掻爬(そうは)し、ホルモン療法を行うこともあります。

これにより「がん」が消えて妊娠や出産ができる場合もありますが、通常3~4ヶ月後に判定し、期待する効果が得られなかった場合は手術をします。

1期の「がん」の場合は手術が中心で、2~3期では子宮周辺の組織も摘出し、1期よりも拡大手術が必要です。
肉腫の場合は、全ての患者に化学療法が必要です。

又、子宮体癌(子宮体がん)は肉腫も含め抗がん剤は効きやすいです。

「子宮体がん」とエイパム(APAM:非定型的ポリープ様腺筋腫)について

毎月きちんと月経がきて内膜が剥がれているにもかかわらず子宮内膜癌(子宮内膜がん)だといわれたら、エイパム(APAM:非定型的ポリープ様腺筋腫)という病気の可能性があります。

エイパムはポリープ状の腺筋腫であり、子宮筋腫の一種です。

これは一見して「がん」に見えることや、婦人科医の間でもあまり知られておらず十分に理解している婦人科医が少ないので子宮内膜癌(子宮内膜がん)と間違われることがあります。

もし月経が周期的にきているにも関わらず子宮体癌(子宮体がん)と診断されたら主治医に申し出た方が良いでしょう。

 

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