子宮頸がんの前がん病変である【子宮頸部異形成】に関する情報交流サイト

子宮頸がんの原因、症状、進行期分類、手術、新しい治療法について

子宮頸がんは子宮頚管(しきゅうけいかん)にできる「がん」

子宮頸がんのできる場所

子宮頸がん」とは、子宮頸部(頚管)に発生する「がん」のこと。

子宮頸がん」には、子宮粘膜を覆った扁平上皮にできる扁平上皮癌(へんぺい じょうひ がん)と頚管粘液を分泌する腺組織にできる腺癌(せんがん)の二つの種類があります。

  • 扁平上皮がん
  • 腺がん

子宮頸がんは進行が遅いけれど油断は禁物

「子宮頸がん」は非常に進行が遅いのが特徴で、10年も表面細胞に限局している事があります。

しかし時には1年以内に進行性になることもあり、「がん」が表面細胞を越えて拡がりはじめると、その進行は速く、治療をしなければ、2~3年で死に至ります。

子宮頸がんは、予防できる「がん」

現在、日本では毎年約2,700人の女性が子宮頸がんで命を落としていますが、子宮頸がんは他のどの「がん」とも異なり予防できる「がん」です。

子宮頸がんは非常にゆっくり進行し、初期の段階では 前がん病変 と呼ばれる がん細胞 に至らない異型細胞の状態でとどまっています。

正常細胞から異形細胞に、異形細胞から がん細胞 になるにもそれぞれ半年から数年かかるので、何の症状がなくても年に一度、子宮がんの検査を受ければ子宮頸がんは早期で発見でき、半年に一度検査をしていれば異形細胞の段階で発見することができます。

子宮頸がんは、前がん病変である「異形成」や、がん が上皮内にとどまっている初期段階(上皮内がん)で治療できれば、5年生存率はほぼ100%です。

子宮頸がん は子宮の入り口で発生するため、産婦人科で簡単に検査することができます。妊娠検査や他の婦人科の症状で検査するときに、一緒に発見されることが多いです。

>>子宮頸がん検診について

子宮頸がんになる原因(要因)

「子宮頸がん」になる原因は、「扁平上皮がん」と「腺がん」で異なります。

1、扁平上皮がんになる原因:高リスク型HPVの長期感染

子宮頸がん」のうち、「扁平上皮がん」の原因は、他のどの「がん」とも違い、ほぼ100%高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)の長期感染であることが判明しています。

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しかし、高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しても、長期感染しなければ「異形成」や「子宮頸がん」になることはありません。

長期感染させてしまう要因には、「喫煙」や「ストレス」などによる「免疫力低下」などが関係しています。

又、「クラミジア感染」をはじめ、性感染症(STD)に感染していると性器に炎症があるために他のSTDにも感染しやすくなります。

性器を不衛生にしたり、栄養不足(特にビタミンA、ビタミンC、βカロチン)があると免疫力の低下につながるので注意が必要です。

2、子宮頸がん(腺がん)の原因:不明

一方、「腺がん」の原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)以外の理由も考えられ、詳しいことはまだよく分かっていません。

子宮頸がんの自覚症状

  • 初期・・なし
  • 進行すると、不正出血、性交後や月経以外の出血、褐色やピンクのおりもの
  • 末期・・腹痛、背部痛

初期の「子宮頸がん」の自覚症状は全く無いので見逃すことが多いです。

人によっては初期の段階でも性交渉後に出血があったり月経以外の不正出血が起きたり、褐色やピンクのおりものが増えるといった症状が出ることがあります。

進行するにつれて不正出血、性交渉後の出血などがあり、さらに転移が起こると腹痛と背部痛が加わることもあります。

子宮頸がんの進行期分類について

子宮頸がん」の進行期は、「子宮体がん」とは異なり、手術をしなくても治療前に診断できます

0期・・非常に早期の「がん」。子宮頸部の上皮内にのみ認められる

1a1期・・筋層浸潤の深さが3ミリ以内、広がりが7ミリ以内
1a2期・・筋層浸潤の深さが3ミリを越え5ミリ以内、広がりが7ミリ以内
1b1期・・「がん」が4センチを越えない
1b2期・・「がん」が4センチを越える

2a期・・「がん」は膣内に広がっているが、子宮頸部の周辺の組織(子宮傍組織)には広がっていない
2b期・・「がん」が子宮傍組織に広がっているが、骨盤壁または膣壁下方部分1/3を越えていない

3a期・・膣壁下方部分1/3を越えるが、骨盤壁には達していない
3b期・・骨盤壁にまで達している、または尿管が潰れ水腎症や無機能腎を認める

4a期・・膀胱や直腸の粘膜へ「がん」が広がっている
4b期・・遠隔転移をしている

子宮頸がんの治療法について

「子宮頸がん」の治療法は、一般的に手術・放射線治療・化学療法です。

受診している病院の設備や医師の技量、病状や進行度合いにより治療法の選択には個人差があります。

子宮頸部異形成「治療と手術の種類」子宮頸部異形成「治療と手術の種類」

子宮頸がん分類期ごとの治療法(めやす)

子宮頸がん0期

基本的に子宮摘出は不要で、膣から子宮頸部の「がん」病変部だけを円錐状にくりぬく「円錐切除法」か、或いはこれにレーザー治療を追加します。子宮を温存できるので治療後に妊娠・出産もでき、お腹を切らないので術後の回復も早い。

子宮頸がん1期

進行期が細かく分かれるので注意が必要で、0期に近い極初期のものから実質2期より進んでいる1b2期までが1期になります。妊娠希望の場合は1a1期は子宮温存可能。

子宮頸がん1a2期

子宮摘出が必要で、1a2期は準広汎性子宮全摘出。

子宮頸がん1b期

広汎性子宮全摘出で骨盤内リンパ節廓清も行います。

子宮頸がん1b2期

リンパ節は骨盤だけでなく更に上方の大動派リンパ節廓清も必要です。1b2期は全例、1b1期でも約半数は術後に補助治療(化学療法か放射線照射)が必要です。

子宮頸がん4期

根治は不能と考えた方がよく、化学放射線療法、腔内照射と外部照射の併用などの治療を行う。

子宮頸がん4b期

痛みなどを軽減させるための放射線治療や全身的化学療法など。

新しい治療法(1):術前化学療法

術前化学療法(じゅつぜん かがくりょうほう)という新しい治療法もあります。手術の前に抗がん剤を投与して「がん」を小さくする方法です。

子宮頸がん3~4期では1~2期の状態に戻す事ができ、その後に手術または放射線の治療を行います。手術前の化学療法で約80%の患者に効果が認められ、1b2期以上から用いられることが多いです。

新しい治療法(1):広汎子宮頸部摘出手術

広汎子宮頸部摘出手術(こうはん しきゅうけいぶ てきしゅつしゅじゅつ)は、「がん」がやや進行した1a2期から1b1期までが対象になります。

通常、1a2期から子宮摘出が必要になりますが、「がん」が2センチ以内か腺癌(腺がん)、周囲のリンパ節への転移が無い場合には、子宮を残すことができる広汎子宮頸部摘出手術を受けることが可能です。

広汎子宮頸部摘出手術とは

子宮頸部と膣の一部、周囲のリンパ節と子宮をお腹の中で支える組織(基じん帯)を切り取り、残した子宮体部と膣を繋ぐ方法

子宮を温存できるので、術後、妊娠・出産することも可能。日本での出産例もあります。この新手術は欧米でも約18年前に始まり、既に100人以上の赤ちゃんが誕生しています。

ただ、妊娠しても早産しやすい傾向があり、子宮の入り口を縛り直す緊急手術を行う場合もあります。

欧米データでは「がん」の再発率は子宮全摘出手術と変わりませんが、妊娠中も画像診断などで再発していないかチェックする必要があります。

広汎子宮頸部摘出手術が受けられる病院

慶応大学病院では、2002年から2005年4月までに女性20人に実施しており、術後の出産例もあります。

「広汎子宮頸部摘出手術」を実施している医療機関は、倉敷成人病センター(岡山県倉敷市)、札幌医大、東北大(仙台市)、九州大(福岡市・2005年掲載時、計画中)などです。

みんなの異形成体験談』で広汎子宮頸部摘出手術を受けた方の体験談を掲載しています。

子宮頸癌1b1期で子宮全摘出を勧められたが子宮温存の為に腹式広汎性子宮頸部切除術を受け、その後出産されたKさんの体験談子宮頸癌1b1期で子宮全摘出を勧められたが子宮温存の為に腹式広汎性子宮頸部切除術を受け、その後出産されたKさんの体験談異形成で円錐切除術後、子宮頸癌Ia2発覚。海外で「広汎子宮頸部摘出」を受け、7ヶ月後に出産されたAさんの体験談異形成で円錐切除術後、子宮頸癌Ia2発覚。海外で「広汎子宮頸部摘出」を受け、7ヶ月後に出産されたAさんの体験談

 

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管理人@sarry(さりぃ)

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